たりぃさんの山旅

山旅を愛するたりぃさんが超軽量の道具とデジタルガジェットを使って奥深い山域を旅します

ウルトラトレイルとは何かを改めて考えてみた - UTMF2019に向けて

ウルトラトレイルとは直訳すれば「超える道」。いったい何を超えるのだろうか?


ウルトラトレイルに完走するためには、緻密な計画と、自然と肉体を相手にした経験が必要だ。必ず起こるであろう予期しない出来事にも瞬時に判断する能力が求められる。これまで経験したことのない、もっとも遅れた科学と言われる自然と肉体を相手にした強敵を前に、時には死をも覚悟して判断を下さなければならない。天気予報はたった数時間先でさえ当たらず、ガンになることを予防する事も治療する事も出来ないのが科学の現実。しかし、極限の状態に置かれた時、人はその内に秘めた人間しか持ち得ない知力を、自分でも知らないレベルにまでに発揮をして、その危機を乗り越えて生き延びようとするのだ。それは人間に組み入れられた本能。180万年前に誕生したと言われるホモ属の元祖であるホモエレクトゥスと呼ばれる狩猟民族が生きるために獲物を確保するために高めてきた、どんなことがあっても不眠不休で走り続ける能力。それは祖先の頃からDNAとして組み込まれている人間、つまりホモ属の末裔であるホモサピエンスの本性なのだ。50万年前にホモエレクトゥスがアフリカを出た時、その能力は完成されたものとなっていたのであろうか。そして今、ウルトラトレイルを走る事によって、そこに存在する危機を前にして余裕で脳が判断し続けられるのか問われる。答えはすぐに出る。だから乗り越えた時の感動もすぐにやってくる。実感して感動し、さらなる高みに挑戦できるのだ。


これは仕事でのプロジェクトマネジメントにも共通する。念密にWBSを計画し、内外の状況に合わせてスケジューリングを巧みに組み立て、湧き上がるリスクと課題を適切にヘッジする。しかしリソースは自分だけ。でもそんなリソースじゃあ絶対に成し遂げられないから仲間をかき集める事も必須だ。まず家族、仲間。応援とアドバイスがとても大事だ。でもそれだけでは不足だ。170kmは3日間にも及ぶ長丁場だ。その多くは孤独との戦いとなるのだ。何度も何度ももう止めようという誘いがやってくる。だから共に走っている仲間や応援の人々と共に戦うための巻き込み力が大事になってくる。こちらから積極的に話しかけて仲間にし、多くの元気をもらい、マイナス思考を積極的に吹き飛ばすのだ。未来のゴールを信じて、それを語りかけ、仲間と共に、予算とスケジュール通りにゴールをする。これはまさに成功したプロジェクトの姿じゃないか!


そんな未知なるプロジェクトを体験できる貴重な、ある意味では手軽な機会としてウルトラトレイルは存在している。このプロジェクトに失敗しても会社をクビになることはない。ただ、完走証がもらえないだけだ。だから安心してチャレンジできる。でも、なぜか仕事と同じぐらいに悔しくて乗り越えたくなるんだ。それは好奇心であり向上心、そして本能なんだ。人間だから走る事を我慢するようにはプログラミングされていない存在なんだ。そして負けず嫌い。それは人間だから仕方ない。


あなたもウルトラトレイルに挑戦して、人間の太古にあった究極の能力を一緒に手に入れないか?現代においてこんなに大量にアドレナリンが分泌し続ける事を体験できる数少ないアクティビティであることは間違いない。そして仕事をする事も自然と楽しくなってしまうというおまけまでついている。Why not? Enjoy the journey ultra Trail!!


今日は、いよいよあと2週間後に迫ったUTMF2019を前に、気持ちを整理するために書きました。絶対に完走する。それしか考えていない。普通に走るだけだから大丈夫。


参考文献

BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族

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GO WILD 野生の体を取り戻せ!  科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス

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サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

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ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

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