たりぃさんの山旅

山旅を愛するたりぃさんが超軽量の道具とデジタルガジェットを使って奥深い山域を旅します

上州武尊山スカイビュートレイル 70 2018⑥ラストのフラット路?!を行く

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最後のエイドA6を出て、砂利のダブルトラックを快適に下る。結構足が回復している。まだまだ行ける!ここA6から先はフラット路だと思っていたから上のエイド間隔表はA6までしか印刷していなかった。なだらかな上りに見えますよね。しかし、これはこれまでがきつ過ぎたが故の錯覚でしかなかった事をこの後嫌というほど思い知る事になるとは、この時はまだわからなかった。
ダブルトラックをしばらく快適に走って下ると、間もなく120kと70kの分岐に出た。120kは右に行きまだまだ多くの山々を超える。70kは左のショートカット路と呼ばれる道を進むが、これは2つ山を超えるらしい。ショート。。その言葉に安堵する程簡単な道ではなく、ガレた川の中の道をひたすら登る。川沿いを離れてもひたすら登る。それはとても慎重な足取りだった。何故ならその直登路をチャレンジする気力も体力もそんなに残っていなかった。でも僕以上に疲れて立ち止まっている人が沢山いて、僕はそのうちの何人かをパスして地道に登っていった。70kの人はもうほとんど疲れ切っている。ひたすら真っ暗な山中だった。
 
上に到達すると、しばらくダブルトラックの傾斜の緩い道が続いた。僕はやはり腰回りの違和感が再発し、ひたすらピッチ走法と競歩を繰り返しながら走り続けていた。痛いし暗いし120kの人が来ないから追い抜かれることも無いんだけど、逆にモチベーションが下がる気がして同じペースのストック女子に遅れを取りながらも必死についていった。止まるともう進む勇気が無くなる気がしてたんだ。少しオーバーペース。でも立ち止まるよりは良いはず。
 
しばらくすると120kとの合流地点に到達。その合流地点で10分ぐらい倒れた。。心の底から疲れた、という声が出た。あと13km。走れるなら楽勝な距離。だけど、今の自分には無理。歩いて山の中を13km。それだと軽い登山一回分ぐらいだ。休めばなんとか行ける。まだ、6時間ぐらい時間がある。6時間。。。もう6時間も歩くのか。歩けるのか?

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10分倒れても身体は回復しなかったが、そのまま歩く事にした。少し行くと川場村の夜景がかすかに見えるんだけど、そこには下らず、田代山という山を5km巻いてから下りに取り付き、最後のウオーターステーションW3に出る。そこまではフラット路。なのだが、微妙なダラダラ登りとダラダラ下りの連続で平地があった記憶はほとんどない。そして僕の足の筋肉は、このダラダラ登りを一番嫌がっていた。膝押しをしようが歩こうがローリングをしようが、とにかく腰回りすべての筋肉が痛くてどうにもならない。騙しても数分おきに休まないと登れない、下れない。平地も走れない。股関節が裂けそうな痛さ。ああ、エアーサロンパスもワセリンも置いてきたし、ストックも置いてきたことを激しく後悔しても、真っ暗闇の山中では何の役にも立たなかった。
 
それでも道端で立ち止まって休み、回復したら腕を振って競歩選手のように進んだ。たまに120kの人が追い抜いて行くが、みな細身のストックを使って走り去って行く。次は絶対ストック持参!でも今は根性!気合!僕は必ず歩き通せる!這ってでもゴールするんだ!!抜かれるたびにそう自分に言い聞かせては足を進めた。やっと残り11kmの看板が来た。まだ、11km。。。こんなに泣きたいと思ったのは初めてかもしれない。
 
その後、なんども黒い山陰に向かってつづら折れを必死で登り、そして降ろされるのを繰り返しながら、もう、最後の山だろう!と思ってはまた登るのを何度も何度も繰り返した。道に迷ったのではないかな?と思うぐらいに1kmおきの看板が出てこない。そう不安になった頃に大抵120kの人の灯りが後ろから迫って来て、ありがとうございます!と言って抜いていった。いや、僕は避けているわけでも何でもなくて、ただ登れずに立ち止まっているだけなんだけど、僕もガンバ!と声をかける。そしてその120kの人たちもストックを使っているにもかかわらず、つづら折れの登りがキツすぎて立ち止まっている。泥も地味に柔らかくて滑ってしまう。なんてエグい道なんだろう。辛い!登れないよ!ここ。存分に休んで回復したら足と腕推しで10歩登り、また木の幹を見つけて寄りかかって休む。なんどもなんどもそれを繰り返して、黒い山陰を超えて、もう永遠に続くんじゃないかと思えるぐらいに修行をした。こんなに先が見えないレースは久しぶりだ。仕事でも滅多にないシチュエーションかもね。
 
そうしているうちに冷たい風を感じるようになって来た。これは山塊を抜けかかっている証拠だ。もうすぐ下りだ!そう思った僕は風対策でウインドストッパーを取り出して着込み、壊れている足で暗闇を進んだ。しかし、また登り、下り、小刻みなアップダウンは永遠と思えるぐらいに何度も何度も続く。。。ようやく縁に出た後にもまた登りがあった。もういっぱいいっぱいをとっくに超えてます。
 
残り7kmぐらいからやっと下り基調になったのは良いけど、今度は斜度がキツく、しかも泥もあるから滑る滑る。この終わった足にはとても耐えられるものではないから、2週間前の白馬国際の泥路で習得した枝つかみ&幹つかみテクニックを駆使して手の筋肉を存分に使い、呼吸を多めにしてなんとか下り切った先に、小さなウオーターステーションW3があった。おー神様!本当に助かった。
 
ここでは3人ほど休んでいて、僕と同じぐらいに疲れて倒れていた。一方で水だけ補給する人、立ち止まらないで走り去って行く人もいた。僕はどのぐらい寝たのかな。20分は寝たし、その後も20分ほど滞在した。そして、スポーツドリンクを飲み、元気になるエネもちを投入して最後の下りに出発!完走するんだ!!と気合を入れる。疲れはあまり回復していないんだけど、心は回復した。ウルトラトレイルとは、7割以上精神力だといわれているスポーツだ。だからきっと大丈夫。7kmならたとえ怪我をしても行ける自信がある。それに、斜度によっては筋肉が途中で回復するかもしれない。絶対行ける!!!

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少し登り返したら川場村の絶景夜景が見えた!いよいよ下り路だ!なんとかたどり着けるかも、初めてそう思ったけど、まだまだ急な下りが続くんだ。気合を入れてひたすら下る。この先はあまり記憶にない。とにかくスリップダウンしないように慎重に降りた。下りが得意だから飛ばそうとかいうことは100%考える事は無かった。
 
そしてついに田んぼまで降りた!実に真っ暗な田んぼ道は、懐かしさと温かさを感じた。ああ、なんとか下山できたなあ。そこからゴール会場まではウイニングロード。マーシャルや応援の人も疲れているので「ありがとうございます!」と声をかける。最後は川場村の道の駅の巨大な吊り橋を渡る。高所恐怖症の僕にはドキドキな真っ暗橋!そこを超えたらゴール!

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人は極めて少ないゴールだけど、施設が豪華なためか意外と(失礼!)感動的なゴールで、涙よりも笑顔が溢れたゴールだった。
 
あー、もう無茶苦茶なレースだったけどね、なぜか今までで1番考えさせられて、振り返ってみたら課題が多すぎるレースで、僕もまだまだ成長の余地が沢山あって、それが発見できたとても良いレースでしたよ。走っているときには全く思わなかったけどね(笑)
 
またいつの日か美味しく片品村野菜カレーを食べたいし、ドロップザックにストックとワセリン入れたいし、剣ヶ峰にも登ってみたいから120kもいいですね。UTMF/UTMBより辛いかも?と言われる120kってどんな感じなんでしょうね。また一つ、目標にしたいレースが増えてしまいました。困った困った!🤣
 
最後に、一緒に走った皆さん、応援いただいた皆さん、スタッフを務めた皆さん、そして、次にこのレースに出てみたいと思っている皆さん、読んでいただきありがとうございました。
 
今年のトレイルレースはこのレースで終わりにします。少し一人での時間ばかりだったから、家族との時間に使います。来年までファンランとトレーニングラン三昧にします。
 
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最後にもう一度Instagramの画像を貼っておきます!この走りながら撮った写真の山々が綺麗で、後からびっくりしました。こちらも気に入ったらイイね!お願いします!
 

上州武尊山スカイビュートレイルの先頭記事はこちら。

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